ぶーこの友人チェブです。
「考えてみたらカロリーって何なのか知らないわ」
「糖質と何が違うの?なんか難しい」
ぶーこの疑問について、本当にぶーこにも分かるように説明してみます。長いですがこれを知っとけば「人はなぜ太るのか」が分かると思うので頑張って読んでください。
(※文中の炭水化物と糖質はほぼ同じものとして読んでください→糖質と炭水化物の違い)
- 「カロリー」は食べ物ではありません。
- 食品のカロリー数ってどうやって決めてるのか?
- カロリーの数字に隠れた「糖質」が真犯人です
- ステーキよりおにぎりのほうが太る
- 食べ物の「脂質」と体の「脂肪」は別物です!
- 「低カロリーだからヘルシーで太らない」は昔の言い伝え
- 脂質はみんなが思ってるよりずっといいやつです
- まとめ
- (おまけ)肥満解消して病気を防ごう!
「カロリー」は食べ物ではありません。
このブログを書くことになったのはこんなラインのやりとりがきっかけでした。
●ぶーこの疑問
「カロリーってなんなんだろうか。私も糖質やる前はカロリーしか見てなかった」
私が初めてぶーこに糖質ダイエットを説明したとき、カロリーについてはこんなふうに言ったと思います。
「カロリーっていうのは数字なの。この世にカロリーっていう食べ物はないし、食べ物の成分でもない。人間は数字を食べて太るわけじゃいのでカロリーは気にしなくてよし!(キッパリ)」
糖質制限の基本は、糖質を多く含む食品は控えるけれど脂質やたんぱく質はしっかり摂ることです。お肉、お魚、野菜、たまご、豆類、キノコ、海藻などいろんな栄養のおかずを何でも食べてください。
「ダイエットだから減らさなくちゃ」、「低カロリーがいいんだよね?」と思いがちですが、実はそうでもないんです。
脂質やたんぱく質では太りません。これはもう医学的に証明されている事実です。
カロリーという数字の正体を知って「カロリー低くしなくっちゃ脳」から卒業する!
そんなつもりで読んでください。
食品のカロリー数ってどうやって決めてるのか?
実際のところカロリーって何なのか?というと、「1gの水の温度を1度上げるのに必要な熱の量」を数字で表したものです。昔々の科学者が考えました。
なんじゃそりゃ?( ̄∇ ̄)
「この長さを1メートルと呼ぼう」というのと同じで、「このエネルギーを1カロリーと呼ぼう」と決めた単位です。「その食品を食べたらこれだけのエネルギーが得られますよ」という物差しですね。
運動で使われるエネルギーもカロリー数で表しますよね。「ウオーキングを1時間やると○○kcal消費する」とかですね。
そこで、
「摂取カロリー>消費カロリー」だと、エネルギーが余って太る。
「摂取カロリー<消費カロリー」なら、エネルギーが足りないので痩せる。
というのが「カロリー制限ダイエット」です。
カロリー数の低いものを食べ、運動や家事で消費カロリーを増やせば痩せるはず!
うん、、間違いではありません。足し算・引き算のお話としては。
それはさておき。
じゃあ、ご飯1杯235kcalとかアボカド1個262kcaだとか、あれは高カロリー、これは低カロリーとか言うけど、そもそも食べ物のカロリー数ってどうやって決めてるの?
ここからが大事なお話です。
実はとても単純で、その食品に含まれるおなじみの三大栄養素「たんぱく質・脂質・炭水化物(糖質)」の量から計算してるだけなんです。
まず、たんぱく質と炭水化物は1g=約4kcal、脂質は1g=約9kcalのエネルギーがあると昔の科学者が実験して決めました。
これに基づき、かれこれ100年以上、どんな食品もカロリー数は以下の計算式で算出されてます。
食品カロリー数=
たんぱく質×4+脂質×9+炭水化物(糖質)×4
(練習問題)
先日ぶーこが紹介していた驚異の菓子パン「メロンクーヘン」の成分表示です。上の公式に当てはめて電卓たたいてみてください。
(答え合わせ)
たんぱく質22.6×4=90.4
脂質38.3×9=344.7
炭水化物206.6×4=826.4
合計 1261.5
ね? 四捨五入して1262kcalぴったんこ。
食べ物のカロリーは全部こうやって算出されます。
「えっ、それだけ?」
ぶーこは驚きました。私も同感です。なにか小難しい理論があるのかと思いきや、なんだ、カロリー数って結局3つの栄養素の量で決まるんじゃん、と。
そしたら、全く同じカロリー数の食べ物だとしても、その中身はたんぱく質が多いのか、脂質が多いのか、炭水化物が多いのかによって体への影響も違うんじゃないの?と思いませんか。
同じ値段の福袋でも、中身はいろいろ違うようなもんです。
同じ値段でも、いらんもんばっかり入ってる福袋もあるわけです。
カロリーの数字に隠れた「糖質」が真犯人です
「人間は数字を食べて太るわけじゃない」と言いたくなるのはそこなんです。
やっぱりカロリーは数字でしかなくて、体の中で何が起きるかは、結局、3つの栄養素をどれくらい摂ったかを見ないと分からないんです。それが栄養バランスというやつです。まるっと合計したカロリーの数字だけで判断すると、肥満・太り過ぎの真犯人を見逃してしまいそうです。
例えば全く同じ100kcalでも、イカはほぼ100%たんぱく質、バターはほぼ100%脂質、春雨はほぼ100%炭水化物です。
どれもカロリーが同じだから、同じだけ太ると思いますか?
いや~、そんなわけないですよね。
世の中、「カロリーが高いと太るし体に良くない」「低カロリーはヘルシー」というイメージが染み付いちゃってますが、中身の成分を見ると、低カロリーでも太る食べ物もあれば、高カロリーでも太らない食べ物もあります。そこに隠れているのが「糖質」です。
ステーキよりおにぎりのほうが太る
ちょっと極端な例です。
700kcalのステーキと350kcalのおにぎり(2個)。
カロリーは倍も違います。どっちが太ると思いますか?
おにぎりのほうが「低カロリーでヘルシー」だと思っちゃいますよね。ところが、カロリー数は半分しかないのに、おにぎりのほうが圧倒的に太りやすいんです。
なぜかというと、
ステーキは脂質が多いのでカロリー数は計算上高くなりますが、他の栄養素を見ると糖質はかなり少ないです(約5g)。
一方のおにぎりは脂質が少ないのでカロリーの数字は低いですが、他の栄養素を見ると糖質はかなり多いです(約75g)。
脂質たっぷり高カロリーのステーキより、糖質たっぷり低カロリーのおにぎり2個のほうが断然太りやすいのです。
食べ物の「脂質」と体の「脂肪」は別物です!
どうしても「脂質」という言葉から「脂肪の材料」と思いがちですが、脂質は体中に60兆もある細胞膜や女性ホルモンなどの材料に使われ、残りはほとんどは排出されてしまうことが分かっています。
実際、体脂肪の材料になっているのは「ほとんどが糖質」ということは科学的には間違いありません。糖質制限に反対する医師でも、さすがにこれを否定する人はいないはずです。
ダイエットでは「摂りすぎたカロリーが脂肪になる」とよく言われますが、それはもう間違いなわけです。
カロリーという形のない数字がいきなり脂肪に化けるなんてことはなく、体内で起きていることをちゃんと見れば、カロリーを構成する3つの栄養素のうち「摂りすぎた糖質が脂肪になる」というのが実際のところです。(このメカニズムは後日書きます)
ところが、食べ物をカロリーの数字だけで判断すると、さっきの式で分かるとおり脂質だけ「9倍」で計算してるので、脂質が多いものは「高カロリーだから太る」、脂質が少ないものは「低カロリーでヘルシー」ということになってしまう。
だから、カロリー制限ダイエットでは「脂質の多い肉や揚げ物などを減らしましょう」という発想になります。
「低カロリーだからヘルシーで太らない」は昔の言い伝え
実は食品カロリーの考え方が誕生したのは130年以上も昔のことでして、それからほとんど変わってません。これだけ科学が進歩して食べ物の成分が健康にもたらす影響がたくさん分かってきたというのに、相変わらず大ざっぱなカロリーの数字だけで善し悪しが計られるのはかなり残念な状況です。
先日テレビで「ヘルシーでダイエットにいい!」と紹介していた「雑穀ハンバーグ」は、お肉の食感なのにお肉を使ってないから低カロリーですが、穀物ですから糖質はお米と同じくらい高いです。
雑穀自体は栄養豊富なヘルシー食材ですが、「ダイエットにいい」と安心して食べ過ぎたら太りますし、最悪は白ご飯のおかずとして雑穀ハンバーグを食べたりしたら糖質+糖質のダブル糖質で太りやすさ倍増です。
ダイエット的には、雑穀ハンバーグより普通のひき肉のハンバーグのほうが全然よいのです。
「低カロリーだからヘルシーで太らない」なんて、ちっとも理屈が通ってないのです。
脂質はみんなが思ってるよりずっといいやつです
例えばぶーこも大好きなアボカド。脂質が多いので1個260カロリーもありますが、糖質量は1個1グラムくらいしかありません。食物繊維もビタミンもミネラルも豊富だし、健康にも美容にも良いこと尽くめのまさにヘルシーフードですが、高カロリーだからヘルシーではないでしょうか? 脂質が多いから太るでしょうか?
いいえ。ヘルシーだし太りません。
アボカドやオリーブオイル、青魚(アジ、サバ、イワシなど)などの油(不飽和脂肪酸)は血液中の中性脂肪を減らして血液サラサラにする効果も分かってます。(ちなみに中性脂肪の材料もほとんどが糖質です)
これまで悪者にされてきたお肉やバターの油(飽和脂肪酸)も、「食事によって体内のコレステロール値は大きく変わらない」と日本動脈硬化学会が声明を発表し、厚生労働省でも2015年にコレステロール摂取に関する基準をすっぱり撤廃してしまいました。
脂質はおとがめ無しってことです。
この背景には、肥満大国・肉食大国のアメリカで、それこそ何十年もカロリー制限・脂質制限を指導してきたにもかかわらず、「ますます肥満が増え続けてるんですけど!」という実態があります。
カロリーの数字にこだわるとどうしても脂質が悪者にされますが計算上高くなるだけです。
「脂質はほとんど体脂肪にならない」ということを知ってください。
「摂りすぎた糖質が体脂肪になる」のです。
まとめ
さてさて。「カロリーと糖質の違い」、なんとなく分かっていただけたしょうか?
カロリー=三大栄養素の合計点(数字)
これが答えです。
年末なので正月っぽくまとめますと
1)カロリーは福袋の値段である!(その価値は中身次第)
2)糖質は福袋の中の無駄なものである!(太る材料)
3)高い福袋でも、無駄なものが少なければお得!(太らない)
4)安い福袋でも、無駄なものが多ければ損!(太る)
こんな感じです!
それから、もう一言。
「糖質制限は危険だ」、「糖質不足でふらふらする」といった記述を見ることがありますが、ぶーこにはそういうことは起きていません。以前よりイキイキして活発です。
ふらふらする場合は間違った糖質制限をしていると思われます。どうしても「低カロリー」が頭にあるため、「低カロリーかつ低糖質がいい」という発想から食事全体の量も減らしてしまい、実際はカロリー不足で低栄養状態になっている……ということのようです。
やっぱり、カロリーのことはいっぺん忘れたほうが良さそうですね。
冒頭でも書いたように、糖質を多く含む食品は控えるけれど脂質やたんぱく質はしっかり摂ることが基本です。
「カロリーは気にしないでよし!」と言ってますが、あえて付け加えるなら、「むしろカロリー不足(低栄養)にならないことを気にするべし!」です。
ここが「カロリー制限の落とし穴」と言われる点です。
そんなわけで、カロリー制限に関しては全否定はしませんけど、栄養不足や栄養バランスの偏り、我慢するものがピンボケして効果が出にくい、よって続きにくいのが問題だと思ってます。
きついカロリー管理に取り組もうとする前に、簡単でピンポイントに効果が出る「ゆるい糖質制限」「糖質ちょいオフ」からスタートしてほしいなあと思います。
(おまけ)肥満解消して病気を防ごう!
どこの何者かも分からないチェブの長話を読んでくださってありがとうございます。これらは私の主観的な意見ということではなく、医学的根拠(エビデンス)に基づいた情報を知って欲しくて書きました。
人が太る原因のほとんどは生活習慣に由来します。
しかし食習慣や生活習慣(運動不足・飲酒・喫煙・睡眠など)が人間の健康に及ぼす影響というのは、どこかの研究者が研究室で実験してポンと分かるというものではありません。「コホート研究」といって、数万人規模の老若男女を5年、10年、20年…と長年にわたって追跡調査してやっと「こういうことが確実に言える」と見えてくるものなんです。
そうした研究は世界中で行われていて、日本でも「久山町研究」というのが有名ですが、町1つ丸ごと、全町民が協力してなんと1961年から継続されています。今では誰もが良く知っている塩分と高血圧の関係や、最近では糖尿病とアルツハイマー型認知症の相関関係が分かったのも久山町研究のおかげです。
糖質制限もそうした広く長い研究に基づいています。ここ数年でブームのように湧いて出たダイエット法ではなく、ずいぶん前から世界中でコホート研究が行われてきた医学的な裏付けのある食事療法です。
そして、さまざまな研究の積み重ねがあって、2013年にはアメリカ糖尿病学会が糖質制限食を正式に取り入れました。これは結構すごい出来事でして、もう4年も経ってるのに日本糖尿病学会は何を渋ってるのかと思いますが、医療現場では例えば東大や北里大などの大学病院では既に糖質制限を治療に取り入れています。
日本は何かと対応が遅い国です。今や当たり前に行われているピロリ菌治療も、私が治療をした2006年はまだ保険適用がなく、薬代だけで数万円もかかりました。当時、医師は「ピロリ除菌すれば胃がん発生が激減すると分かってるのに日本はおかしい!」と怒ってました。日本で保険適用になったのは2013年です。なんとあれから7年も遅れたんかい!と知りワナワナしました。
病気の「予防」よりも「治療」にお金をかけざるを得ない医療保険制度も日本が抱える問題です。予防には健康保険が適用されないので、実際に病気になるまでみんな我慢(節約)してしまい、早期発見が遅れて治療費がかさむという悪循環です。
ちなみに歯医者さんでは「削る治療」よりも虫歯や歯周病を防ぐケアを行う「予防歯科」に力を入れる歯科医師が少しずつ増えています。
話がそれましたが、肥満はさまざまな病気の危険因子です。
特に日本の「国民病」とも言われる糖尿病については、肥満は最大の危険因子です。長らく食事療法としてカロリー制限が指導されてきましたが、患者と予備軍は年々増え続けていて、先日ついに2000万人を超えたとの報道もありました。
また、日常的に糖質を取り過ぎている人は中性脂肪値も高いと思いますが、中性脂肪が高いと脂肪肝から肝臓疾患、動脈硬化から脳梗塞や心筋梗塞というルートが出来上がってしまいます。
近年、認知症も生活習慣病と位置付けられ、糖質との相関関係も明らかになりました。美容的にも「糖化=老化」が取り沙汰されています。いずれも「糖質過多=肥満=生活習慣病」というイコールの関係です。
しかし!今すぐ予防をスタートすれば余裕で改善できます!まだまだ間に合います!
というわけで、私は糖質制限をダイエット法だとは捉えていません。
さまざまな生活習慣病の基本的な予防法です。
医者や薬に頼らず中性脂肪、血糖、コレステロールなどが正常値になり、かつ結果として痩せます。
お金もかかりません。一石二鳥、三鳥、四鳥・・・です。
ぶーこが良いお手本です。健康のために糖質制限オススメします。制限といっても「摂り過ぎ」を改めるだけです。ゆるーく始めてみてはどうでしょうか。
(次回に続く・・・)
実践方法はこちら